2012年9月1日土曜日

芳沢光雄 数学的思考法

数学的思考法―説明力を鍛えるヒント  講談社現代新書
芳沢 光雄
講談社
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自分自身では理由がわからなかった様々な課題や現象に対して,数学を用いて自らその理由を説明できたり,あるいは他人や本の説明からその理由を理解できたりして感動を味わうことがある.そのような経験が積み重ねられることによって,人は本当の「数学好き」になっていく.
(コメント)簡単なことから,数式を用いて理論的に説明を試み,成功することを積み重ねると,意外にあっという間に難しい課題の理論的な説明もできるようになり,ますます数式を扱うことが好きになるということは,実体験としてある.

主成分解析は,多くの変数をもつ情報を分析するとき,元の変数の1次式により作られる2~3の変数(主成分)によって全体の情報を大まかにとらえるようにするものである.多くの現実問題に関して,第1主成分から第3主成分までで全体の情報の80%くらいはとらえることができる.


規則性の理解のためのポイントは,「3」程度の具体例(モデル)で考えること.大体,これで一般的な性質を捉えられることが多い.
(コメント)簡単な具体例で考えることは非常に大切.「2」だと規則性を見落とす気もすると,「4」だと手間がかかる気がするので,「3」が丁度いい塩梅.

ある空間で本質的に新しい発見をすると,それは他の空間にも「同型」(アナロジー)を通じて波及し,それがまた新しい発見につながるのである.
(コメント)アナロジーで考えることがいつも大切.

「類別」は対象とするもの全部をいくつかに分けることで,その分け方によって説明が効果的になるものでなくては意味がない.
(コメント)トレードオフなどの表を作成する場合,説明したいことに沿った分類とすることが大切.表を作りたいが,分類軸がぼんやりするときは,何を説明したいのかを意識する.説明したいことに応じて,表も変化すると認識することも大切.

「場合分け」は,いくつもの場合分けをクロスしながら検討課題の核心に迫っていくのが普通で,様々な場合を見つけて考えるところに試行錯誤の鍵がある.したがって,数多くの試行錯誤をした後には「場合分け」を整理し直すことになる.
(コメント)場合分けは一発で華麗にできるものではなく,泥臭い作業が伴うものと認識する.試行錯誤しながら,検討課題の核心に迫っていく感覚を楽しもう.

モデル化する段階では,簡単のためのある程度の強引な方法(扱い)の採用はしかたない.このモデル化によるブレは避けようがなく,場合によっては意外に大きなブレになる場合もある.したがって,モデル化の規則や詳細は必ず明記する必要がある.
(コメント)モデル化は通常扱いやすい数式に乗せるために行う.このようなモデル化により,対象とする事象の出力等への見通しが立つ.一方,扱いやすいようにモデル化しているため,ブレが発生することには細心の注意が必要.

「すべて」と「ある」の用法は否定文と一緒に理解する.
「すべての自然数nに対して,命題P(n)が成り立つ」(すべて・・・ある)
「ある自然数nに対して,命題P(n)は成り立たない」(ある・・・・ない)

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