2012年9月28日金曜日

パナソニックやユニクロの外国人大量採用.成功すれば,国内でも一気に加速!

10年後に食える仕事、食えない仕事
渡邉 正裕
東洋経済新報社
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「カネ」「情報」→一瞬で国境を超える.
「モノ」「企業」→徐々に国境がなくなりつつある.
「ひと」→国境を超えるにはかなりの時間を要する
「土地」→国境を超えない

「重力の世界」→規制をかけなければ最終的に最低水準まで下がっていく.
①IT化で瞬時に海外移転する職業
②徐々に海外移転していく職業
③海外移転しないが国内で徐々に外国人に置き換わっていく職業

汎用品化=コモディティ化=低付加価値品化=低価格化・普及品化 → 重力の世界に引きづり込まれる

外国人の大量採用→ユニクロやパナソニックが成功すれば,一気に進む.

日本の人口分布→若者が減り,消費をしない老人人口が増加し,国内ビジネスが伸びない.企業では,新卒からドラスティックに海外仕様に人材をモデルチェンジする人事施策をとるのが合理的な経営判断となる.

企画側・顧客側に近づくにつれ日本国内サービスでは日本人メリットが活かせる.

無国籍ジャングル(発明)→グローカル(マーケティング/開発)→ジャパンプレニアム(生産)→重力の世界(汎用品量産)

日本企業の技術とノウハウは「人」ではなく「組織」に蓄積されている.


2012年9月25日火曜日

上司は部下による選挙で選ばれたわけではない.

僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
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「やらないことを決める」というのは,たとえば他社の二番煎じの製品はやらないということ.二番煎じの製品では,差別化のため,最終的には価格競争をしていくこととなる.

コンセプトは売り手側の願望ではなく,買い手側の願望を表したものでなければならない.明快なコンセプト,優れたデザインを開発工程の上流で生み出し,そこから先の開発や製造はケチケチとシビアにやっていく.コンセプトやデザインを重視しない場合,構造的にコストが膨らみやすくなる.

責任の所在が明確な仕組みがあると,失敗が目立ちやすくなるとともに,貢献度が高い個人や部署も目立つこととなる.社内政治的には,問題の責任者に仕立てられないように常日頃から細心の注意を払っておく.自分の部署の成果を差別化してアピールし,社内マーケティングを行う.どんなに真面目な良い人でも脇の甘い管理職は刺されまくりで,最終的には消耗し,退職,閑職へ追いやられる.「社内政治に興味がない」などと言っていると,その瞬間から利用価値のある「いい人」と認識され,自分の影響力は削がれ,誰か別の人に移り始める.

自分が世の中を変えることに寄与しているという実感はモチベーションを恐ろしいまでに高めてくれる.

マネージャは,準備,実行,後始末のうち,最初と最後を特に率先して実行しなければならない.

マネージャは,選挙で選ばれたのではない.下の者が投票して決めるのではなく,上の者が資質を見込んで決めるものである.

マネージャは,部下のカウンセラーではないので,部下の相談にあまり首を突っ込むと,自分自身が病んでしまうので,注意が必要.

マネージャとして,最初は誰も信用してくれないので,自ら袖を捲りあげ額に汗して働く必要がある.

宗教や人種に関する差別には注意が必要.自分は偏見を持たなくても,相手がどう感じるかが肝心なので,細心の注意が必要.

自分の部門で働きたいと思っている人は部門外,社外にもたくさんいる.だから,危機意識をもち,熱心に仕事をする.


あなたの手柄は上司の手柄.上司は勝ち馬が大好きだから,仕事を円滑に進め,期限厳守,優れたアイデアをだし,他部署からも当てにされることを望む.

上司の問題を切実な問題ととられ,どうしたら解決できるのかを考え,真剣な態度を示す.

何事にも失敗はつきものであるが,取り返しのつかない失敗などほとんどない.リスクを十分下げて失敗すればよい.

未来の課題をいまの課題に変えられるようになれ!



2012年9月16日日曜日

部下が方針に従い,正しく実務を行うような環境整備を行うのが中間管理職

マネジャーのための 出世の教科書
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出世に欠かせないのは,実績とともに,「推薦人の存在」.

一般に,上司(権力者)の判断の方が遥かに正しい場合が多いし,仮に間違っていたとしても,その責任は上司が負う.映画や漫画の世界では,上司に刃向う部下がヒーローかもしれないが,現実の世界では上司の判断は絶対.

マネージャは与えられた組織という歯車を動かすための油に過ぎず,歯車の回転を乱すようなことは期待されていない.マネージャーはリーダではないのである.

マネージャーがしてもいいのは,トップ自らが決断する際に,意見を求められた場合に限って,自分の意見を述べること.

中間管理職というのは,部下をうまく管理しながら,上司にうまく管理されなければならない立場にある.

上司は,順調に実績が推移している場合は何も口出さないが,いったん推移が怪しくなると,介入してくるものである.

ピラミッド型組織での注意点は,決断は上から下に下るもの,つまり常に少数側が動かすものであるという事実を認識することである.ここに多数決の原理を混在させて,ボトム側の意見が正しい(=部下を代弁をする)と考えるのは錯覚である.

中間管理職は,部下が不平不満を言おうとも(=その論拠となる誤解を解く努力をしながら),トップの方針通りに仕事をさせなければならない.

中間管理職は部下に給与を出してもらっているのではなく,トップに給与を出してもらっているのである.

中間管理職は,与えられた目標を達成すること,与えられた人材を育成すること,そのために部下たちのモチベーションを高める手助けをすることが,期待されている.

リーダーとは,正しい道を判断する能力,そのために人心を掌握する能力が必要.
マネージャーは,正しい道の上で,正しく実務を行っていく能力が必要.

2012年9月10日月曜日

相手の考えを引き出す方が,自分にとっては最終的に有利になる.

企業の研究者をめざす皆さんへ―Research That Matters
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難しくて今は解き方が知られていないが,おそらくあと1,2年頑張れば解けると思われるという問題が,研究者にとってのスイートスポットになる.

ほかの研究者との議論の意義とは,自分が知らなかった何かを新たに知ることと,今まで自分が知っていても気が付かなかった何かに気付くこと.議論では,自分の考えを押し付けることよりも,相手の考えをできるだけ引き出す方が,自分にとっては最終的に有利になる.

エンジニアとしてキャリアアップするためには,技術的にエキスパートであることは当然であるが,自分の価値を周囲のエンジニアに認めてもらうことも大切.

近年,内部統制が厳しくなっており,組織間の壁を越えた協調がやりにくくなっているが,これはつまるところ,企業価値を高める手段なのである.

中国・インドへのシフトは「コストが安い」からではなく,「そこに機会とスキルがある」からである.だから,日本人エンジニアは,ひとりひとりがワールドクラスになるひとが重要である.

特許が必要な理由は,自社の製品やサービスを差別化できるからというものである.これは,競合他社の参入を拒む,あるいはライセンス料のためにコスト競争で勝たせないということである.また,競合他社の特許により,自社が不利な立場に陥らないためでもある.厳密に言えば,特許でなくとも,論文や標準文書などの出版物で公知にしておくことでも防止できる.

仕事のできる人は,前もって起こりうる問題を先読みしている.

「先読み力」で人を動かす ~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント~
村中 剛志
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仕事のできない人は,自分や他人が起こしたトラブルに巻き込まれ,後手で対応してしまうため一生懸命働いているにすぎない.

仕事のできる人は,トラブルを起こさぬように,前もって起こりうる問題を先読みしている.周囲からは段取りがうまく,スマートに仕事をしているように見える.

グローバル化とは,経営側が,自分(日本人)を雇う値段でインド人のエンジニア2名と通訳1名を雇うことが可能になるということ.こういう時代に自分の価値を高める手段の一つとして,マネジメントスキルがあり,自分を経営側に鞍替えしてしまうというのがある.

先読み力とは,認知,タスク化,実行の3ステップからなる.

タスクの洗い出しは,縦軸に人(担当),物(器材,場所),金(予算,費用),情報(資料,スライド)を書き出し,横軸に実施前,実施中,実施後とする表をつくり,タスクを埋めていく.最後にWBSにすればよい.

重要であるが緊急でないタスクは,先延ばししがちであるが,これはリアクティブな行動を生む典型的なパターンである.こうならないためには,緊急なタスクを減らすことにつきる.

プロジェクトが遅れる原因は,タスクが管理できていないから.

「お客様に認められる仕事」ではなく,「お客様がお客様社内で認められる仕事」をする.

いつも忙しく仕事をしているリーダよりも,仕事を任せてくれ,仮に問題が発生しても必ず助けてくれる
リーダが頼れる.

2012年9月9日日曜日

行動を起こすための問い:「このままの状態で一生を終えて幸せだろうか?」

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ブルーカラー職種は生産性を定量的に把握しやすいが,ホワイトカラー職種は把握しにくく,「仕事の成果への貢献度」の算定スキームを明確にし,合意しておく必要がある.

改善も重要だが,所詮本質的なブレークスルーにはなりえない.

何かの専門を極めた人というのは,何のチャレンジもせず平々凡々と毎日を生きている人が得られない境地に達している.どんな分野であれ,到達した境地には何らかの普遍性がある.

基本的に人間の人生というのは未完で終わる.ひとつのテーマなりを成し遂げると,次なる目標あるいはテーマが現れる.この繰り返しとなり,未完のものを抱え込んだまま死んで行く.

スゴイ人が一人いると,その人に追いつこうとする組織と,その人の足を引っ張ろうとする組織がある.

行動を起こすことへの問いかけ:「このままの状態で一生を終えて幸せだろうか?

上司はスキルが高いから上司になっている.当たり前だけど...


サラリーマンにとっては、「リスクをとって斬新なアイデアを提案する」より、「絶対失敗しない手堅い仕事をして、今いる会社に置いてもらう」ことの方が重要。

同じミスをしても、言い方次第で差がつく。つまり、仕事そのもののスキルでないところで損をしている人と得をする人がいるのである。

上司のアイデアに円滑にダメだしするには、

①公然とダメだしするのはご法度。「人に言われて引っ込めた」ということにするのではなく、「自分でよく考えてみたら、割と穴だらけだったなぁ」と言えるように仕向ける。

②コストなどのアイデアのボトルネックを外部に置く。

③「いただいたアイデアは市場の動向を見つつ、検討していきたいと思います」というように、あたかも収束ではなく、新しい企画の始まりと言わんばかりのまとめ方をし、発展的解消を演出する。

上司はスキルが高いから上司になっているのであって、人間自体に本質的な欠陥があるわけではない。

2012年9月6日木曜日

褒める点を探す→必然的に相手を洞察→コミュ能力アップ→気持ちのいい社会

悪徳官僚に学ぶ 戦略的ゴマすり力 (ディスカヴァー携書)
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求められてる能力が何かは自分で考えるしかない.あるいは自分の周りで成功している人を見て,何か共通する特徴を探し出すしかない.

経験上,偏差値の高い大学を卒業した人というのは,空気を読んだり,会話の間合いを計ったり,相手が何を求めているのかを考えて,話したり聞いたりできる確率が高い.
受験秀才は,口下手で朴訥というイメージがあるが,実際は相手に応じて会話を変えるなど,コミュニケーション能力に優れているのが普通である.言い方を変えれば,相手を気持ちよくさせる力があるということになる.

どこの組織でも言えることであるが,文句を言う人間を説得するためにルールがどんどん細かくなっていく.

官僚パワーの源
・専門知識
・細かなルールの設定能力
・タイムスケジュールの管理
・下請け仕事を引き受けること
・根回し力

洞察力を鍛える方法
・一日のうちに褒める人数を決める.褒めようと思うと,必然的に相手を洞察することになるからである.
・連続して褒める訓練をする.
・始めて会った人を出来るだけ早いタイミングで褒める.

「官僚の王道は政策を企画立案する知的業務である.毎日,永田町の議員会館にばかり出入りして政治家にゴマをするったり,業界団体に入り浸っているような奴はけしからん」

自分の主義主張・ゴマすりを時として権威のある第三者に語らせる

交渉では,自分の主義主張を忘れない一方,相手に意識をフォーカスすることが重要.相手にフォーカスすることで,交渉の雰囲気に呑まれることを避けられる.フォーカスとは,相手を客観的に観察し,相手が何を考え,何を望み,何なら喜び,どういう条件であれば受け入れるのかを見抜くこと. 

2012年9月5日水曜日

拙速は巧遅に勝らない!?


http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report27_2142.html



一番優秀な学生Aは、ものすごく注意深いタイプで、間違いがめったにない仕事をする。インストラクションをよく読んで、どういうふうに税額が計算されるのか自分である程度分析し、いろいろなケースが出てくるのだが、こういう場合はどうするべきか自分でよく考えて判断し、判断の根拠もちゃんと記録に残し、出来上がった仕事は正しくできているかしっかり自分でセルフ・レヴューをしてから私に提出するので、ほぼ完璧なものが出てくる。間違いがあったとしても、初心者としてはリーズナブルな間違いしかない。

こういうふうにしっかり考えながら注意深い仕事をすると、最初は仕事のスピードが遅くて、ほかの学生たちに比べて、出来上がった仕事の量が少なく、プロダクティビティーは劣ったが、それは慣れればスピードアップするのはわかっていたので、問題にならなかった。2ヶ月目に入るとだんだん仕事の内容も複雑になってくるので、これはちょっと難しいなと思うような仕事は学生Aにやらせた。するとたいして教えもしないのに、見事にやってのけた。これには感心した。

逆に、学生Bはプロダクティビティーは高くて、仕事がえらく早いのだが、間違いだらけのものを平気でボンボン出してくる。出来上がったものをみればすぐわかるのだが、要は何も考えずに、目の前にある山をとりあえずかたづけたくて、適当にインプット作業をして、出来上がったものが正しくできているかセルフ・レビューを全くせずに出してくる。ケアレスミスが極めて多く、何をやらせても注意深さに欠ける。仕事の中身に対する理解度も低い。最初の10日くらいで問題ありの学生だということはわかったので、なんとか鍛えてあげたいと思って、特に細かく指導したのだけれど、いくら言っても自分のやった仕事をきちんと見直すという習慣がないようで、スロッピーな(不注意な)性格は変わるものではなく、4週間しても改善が見られなかった。

投票しない貴方は,政治的には死んでいる.

どうする!依存大国ニッポン (ディスカヴァー携書)
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有権者に与えられた1票を行使しない以上、政治家にとっては棄権者はこの世に存在しないのと同じで、いない人のためにわざわざその声をくみ上げることはないし、貴重な予算を使うこともない。だからこそ、長い間、若い世代の人たちを犠牲にして、最も投票率の高い世代の人たちを優遇する政策をとってきた。

若い世代の人たちは選挙に投票しに来ないので、意見をくみ上げる必要性も感じないし、政治的な関心も低いので、政策的におざなりになってもわかりはしない。国会議員にとっては、若い世代より知識も豊富で、しっかり投票してくれる60歳前後以上の人たちを優遇するほうが、次の選挙のときに再選するためには得策となる。
50歳以上の大人には世の中を変えるエネルギーはない。今まで積み上げてきたことの延長線上で考えることはできるが、現在あるものを破壊し、新たにつくりあげるころができない。保守的にならざるをえない。
政治家というのは、日本国の繁栄について大局的に物事を考える使命を負いながら、実際には非常に少数の有権者のために働いているのが実態。
外交とは、自分たちの意見を通す場である。核を持つことで日本の意見が通しやすくなるなら、持たないよりも持ったほうが良い。抑止力とは、「自分に向けられた行為の達成が、困難であるか、あるいは代償が高くつくことを相手に予見させて、その行為を思いとどまらせる力」のこと。
税収の4本柱:
・法人税
・所得税
・消費税
・固定資産税
日本の税収は、法人税比率が高い(先進国の中で最も高い)のが特徴。企業の儲けは厳しく取り立て、個人所得に対しては甘い。
法人税を引き下げる→商品価格が引き下がり、企業の国際競争力は増し、海外からの企業や投資を呼び込むことも可能になる。国内企業も国外へ逃避。
税金の使い道
・一般歳出
・地方交付税等
・国債費
支出の方が多く、赤字国債を発行。当たり前だが、借金を返すためには、最終的にはどこからか、お金をひねり出さなくてはならない。

2012年9月4日火曜日

一応暮らせる絶妙な日当が,格差社会を助長

今日から日雇い労働者になった
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日雇い労働の生活から抜け出せないのは日当が8000円から9000円という微妙な額だからである。とりあえず,一日働けば飯が食え銭湯にも入れ,ネットカフェで雨露も凌げ,これはこれで不便なく生けていける。そのうち低賃金を低賃金と思わなくなり,危機感が薄れていく.

底辺労働の現場にいる人たちは無知なのかもしれない.周りにいるのは同じような低賃金労働者ばかりで,自分が低賃金で働いているという感覚がなくなるのでないか?

高卒では,ビルメンテナンス,警備員,運転手,電機や自動車関連の下請工場しか行けない.営業とか事務でさえ高卒ではダメな場合が多い.基礎学力,一般教養,受けた教育水準,専門知識の有無などで行き場が違う.現代の職業は専門分化し企画力,応用力,創造力を求められる仕事のほとんどは大卒者に占領されている.

高卒でできるような上記のような仕事は単純労働だけであり,知識や技能は身につかない.生かさず,殺さず,ベルトコンベアに乗る物のように扱われ,最後は使い捨てされる.社会の調整弁.職場を転々とする生活なので友人もできず,常に孤独である.社会の出来事に無関心になり,冷たい人間になってしまう.こんな人間が社会にあふれると社会全体は殺伐となってしまう.

2012年9月3日月曜日

学びの究極は,自らが社会とどう向き合うかを探求すること.

東大生・医者・弁護士になれる人の思考法 (ちくまプリマー新書)
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壁を乗り越えていくタイプの共通点は,試練に直面した際に素直に他者の言葉に耳を傾け,軌道修正できる点である.素直に人の意見を聞き,心に開かれた窓を持つ者は大きく伸長していくものである.

東大生・医者・弁護士などの高いステージに登る人たちの思考法は,難関突破に留まらず,学びの果てで「社会とどう向き合うか?」にまで及んでいるべきである.

留年や中退をする人ははっきり言って自分に甘いだけである.というのも,どこの大学,どの科目でも,学生を救済する措置は必ずとられているものであり,彼らはそれらに応えようとしないということだからである.

東大に入学するような人間というのは,将来,社会の枠組みとなるべき規則や法律を形成する側の人間になり得る可能性を有している.だから東大入試では,日頃から大局的な視点でも,もしくはちょっとした研究者並みの視点で世の中を見つめているか,把握しているか,そして度量の広い思考の領域を持っているかが問われる.つまり,社会で起きている事象に目を向け,見聞を広め突き詰めて思考することや,明確な答えのないような限界事例に自分なりに答えを導き出すことが必要である.

自分たちのプリンシプルを入れて,ルールを変える

ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか (ディスカヴァー携書)
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日本人はルールに無関心? ルールそのものはよく知っていても,ルールの意味や目的を考えていなかったり,「ルールを作るのは自分ではない」と言って,実情に合わないルールを改めることや,新しいルールを作ることに無関心ではないか?

プリンシプルとルールの違い


プリンシプルは考え方の近い人や組織の中で自然に出来ていくもので,当事者だけに適用されるという自律的な要素が強く,第三者が従うと賞賛されるが,当事者を含め,それを守らないからといって罰則はないし,非難もされるものではない.一般に文化や歴史,さらには社会環境にかかわる部分が多く,不可欠なものではないだけに,国や人,あるいは時代によって表に出てくる度合いが違う.
ルールは考え方の違う人や組織間の決め事であり,他律的である.状況に合わせて変更していくべきもの.社会全体に必要不可欠なものであり,法律,規制,条約といった形態で存在する.

ルールとプリンシプルの違いを把握した上で,ルール作りへの参画を闘いの範囲に加えるべきである.そのとき,ルールの作り方や変更の仕方に自分たちのプリンシプルを入れ込む.

新しいルールが出来たら,まずその内容を精査し,ルールメーカーの質・目的を考えて評価をすべき.これを怠ると,対応を誤りかねない.

欧州人の気づきとは,喧嘩をしすぎて全体を壊してしまってはどうにもならない

ルールなどの制約は人間や企業にとって成長の原因となりうる.競争を認める社会においては,常にルールは変更されるという制約を受けるのは宿命であり,それが技術を進歩させる鍵の一つである

自らに問いを立て,本質に迫る.

地アタマを鍛える知的勉強法 (講談社現代新書)
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社会に通用する人の特徴のひとつは,「もっと他にやり方はないのか」といった意識を常に持っていること.

勉強する上で,自分が何をわかっていて,何をわかっていないのかを意識することは大切. 「何をわかっていないのか」を知ることは,課題を設定することであり,課題を設定すれば,自分から自然に対応していけるようになる. これは,自分でなく,相手であっても大切であり,相手が「何をわかっていないのか」を潜在的に読み取ることは重要.

勉強が好きでも,やり方がずれていると効果は上がらない. それは本質をつかまずに,やみくもに勉強していることである. 本質をつかむには,常に自らに問いを立てることが重要. ノートをとる際にも,問いを立てることが大切.問いを立てることは,勉強から研究へのルートとなる.

言語というのは,痒いところに手が届くような細かな手作業に向いていて,微妙なニュアンスを伝えることが可能. ただし,言葉だけでは線が細く,全体がいっぺんに見通しにくい.これを補うのが図である.

文章を図に直し,作成した図を用いてぶつぶつと一人で説明する. 図で文書の内容を説明する. これは勉強で最も大事な部分であり,参考書や先生に任せてはいけない.

難しい局面になったら,びびらず,局面をシンプルな事象に分解することが大切.このようなクセをついていると,どんな局面でもびびらない.

否定されることを恐れてはならない.むしろ,否定されたことで前進できると考えるべきである.

2012年9月2日日曜日

革新的な変化は,人知れずに進行する.

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた
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確かにソニーのウォークマンの音質や耐久性は優れているかもしれない.しかし,それはもはや競争の本質ではないのだ.

「勝つために手段を選ばず」的な志の低い企業行為の数々. 時代感覚をなくして世の中のメガトレンドに疎く,プライドやビジョンや技術を軽視した保守的な言動. 幾多の業績を挙げた功労者や自らリスクを取る挑戦者たちを極端に粗末に扱い,しかもそれをなんとも思わない無神経な人々の横行. 新しい企業価値を生み出すことに賭ける腹の据わった度胸と忍耐力の欠如. 見苦しい嫉妬と足の引っ張り合いやモラルハザードが日常化した結果,内向きに消費される無駄なマイナスエネルギーの極大化.

グーグルの採用基準
・地頭の良さ. 知識などよりも,未知の課題に対して,答えを導き出す道筋を論理的に構築できるかどうかが問われる.
・これまでの職務実績や社会貢献の具体的な内容. きちんと結果を出す人かどうかが見極められる.
等々

ビジネスの常であるが,あまりにも強いポジションを確保し過ぎると,逆にそれが大きな足枷となって,次の勝負で大敗するという事例は枚挙にいとまがない. 例えば,真空管で強かったオランダのフィリップスがトランジスタに乗り遅れた事例,ソニーのウォークマンがiPodやiTunesにやられた例がある.
本質的に問題と感じたのは,テレビグループではテレビの定義があくまでも受像機ということであり,それ以上の発想がないように思えたことである. これからはネットワークの時代になり,ディジタル放送も始まる. だから,ただの受像機という装置ではなくなるはずだ.

「初めて日産を見たときは,とにかく問題だらけなので大きな改善の余地(Potential of Progress)を感じた」

従来のコンスーマビジネスにおける商品は,製造側も消費側も,いい意味でも完璧・完全を追求するマインドが強かった. 一方,パソコンなどのビジネスでは,製造側も消費側も,始めからバグを予期したマインドセットになっている. 当然,商品に欠陥があることは許されないし,品質は利益の源泉であると同時に品質で事業を潰すことさえある. これは難しい議論であるが,我々は常に商品の完成度,品質に万全を期さなければならない一方で,過度の完璧主義から脱却した割り切ったモノ作りについて,もっと学んでいく必要がある.

世の中はすべてが関係論の中に成立している. 自分の現在の職務や自分の職場が単独で存在しているわけではなく,家電やIT業界の中にソニーが存在し,そのソニーの中に事業所が存在し,その事業所の中に自分が所属する職場が存在している. 現在取り巻いている状況というのは,自分たちの日頃の業務の帰結なのである.

人間の習性として,将来への備えや起こり得るリスクに対する備えをしている段階では,なかなかその行為の意味というものが周囲の人々の理解を得られずに苦労するが,一旦リスクが顕在化すると,そこで初めて認識が深まったり,本気になったりするものである.

オフライン時代に,ハードを量産するという作業はリスクの高い行為であった. もし出荷後に製品に瑕疵が見つかればリコールにもなりかねず,そうなればその損失は計り知れない.そこでISO9000などに準拠した品質マネジメントシステムを構築し,出荷前の製品の完成度を万全にするためにコストと時間をかけることには誰も疑いの目を向けない.
オンラインの時代には,ネットワークとつながる商品であれば,仮に出荷後に瑕疵が見つかっても,オンラインで修復できるという可能性がある. ましてはハードウェアを含まないアプリなどであれば,あるレベルまで完成度が上がれば後はとにかく早く出荷した方が有利である. もたもたしていると同じアイデアを持った動きの早い人に先を越されるリスクが高まり,また早く出すほどユーザのフィードバックも早くもらえて製品の改善が進む. このため,出荷前の完成度を上げるために必要以上のコストや時間をかけず,それを出荷後の製品の進化を継続するための仕組みづくりに回す方が得である.

クラウド事業者は,データセンタで無数のCPUやHDDを扱っているが,これらを人間の細胞のように,むしろ壊れるのは当たり前として,早く壊れたパーツは新しいパーツと入れかえていくという新陳代謝を前提としたフォルトトレラントなアーキテクチャを構築している.

いずれ,銀行にお金を預けるのに誰も不必要な心配をしないのと同じように,自分や会社の機密データもデータ管理のプロ事業者に預けるのが常識となっていくであろう.

イノベーションとは,どんなにいい技術や製品を開発しても,それだけでは決して成立しない.その良さが多くのユーザに理解され,受け入れられてこそ,我々の生活を便利にしたり,社会に役立つ価値として意味を持つようになる.

日本人は行動する前に考え込んでしまうことが多い. インターネットの世界はスピードが最も重要で,やるリスクよりやらないリスクのほうが高い. やらないうちに時代はどんどん先に行ってしまい,躊躇しているうちにあっという間に取り残されていく.
「瑕疵がない,壊れない,壊れにくい」ことを前提にしたモノ作りの体質は,スピードが最重要な時代においては,必ずしも合理的とは言えなくなってきている.

走りながらユーザの力を利用して製品の完成度を上げていくというスタイルはオフラインの時代に作り上げた鉄壁であるが故に融通の効かない日本的なものつくり文化やシステムの立場から見ると非常識でありあり得ないスタイルである.

世の中の革命的な変化というものは実は派手に起きるというよりは見えないところで潜行しながら発生する. 革命や変革というのは,起こす人がいるから起こるのであって,世の中のごくごく一部の限られた人たちが動き出すと,さらにごく一部の人たちがその動きを察知して行動をはじめ,そこに小さな連鎖が発生し始める. このような革命や変革が起きることのサインはいろいろな形で出始めるのだが,本当に大勢に人たちが気付き始めるのはかなり後になってからとなる.

どうすれば勝つかではなく,どうすれば負けを少なくできるかを意識する.

不幸になる生き方 (集英社新書)
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ビジネスにしろ,スポーツにしろ,その道のプロとして長く続いている人というのは,負けを少なくすることを常に意識している人たちである.

リスクや責任をとらないままでは,幸せになれない. 相手からみれば,その人と付き合っていくには,コストが高すぎると判断されるからである.

ごみの捨て方に対する有責の発想
ごみの捨て方が細かく決められているが,これは合理性をもって,市役所の管理コストが安くなるように決めているはず.したがって,これを守らないと,市役所の負担が重くなり,最終的には税金アップという形で自分たちに跳ね返る.だから,一人ひとりが小さな決まりでも守ることが大切なことになる.


長期目標の実現に挫折すると,当の目標を実現できないかったというマイナス以外にも,以下のように,人生全体にネガティブ効果を及ぼす.
・挫折したことで,物事に取り組む自信を喪失してします
・あきらめることが常態化して,目標を定めない生き方が当たり前になってしまう.
・仕事でもプライベートでも,納期や約束が守れず,相手から「自己マネジメントのできない人間」と評価されてしまう.

我慢強さは社会的成功に結びつく. 我慢強ければ,学校の成績もよく,友だち付き合いも上手,ストレス管理もうまくなる. 我慢とは別の言い方をすれば,中長期的な課題に向かって無理なく続く仕組みをつくり,行動を継続していくことである.

本を読んだり映画を観ることで知識や教養を身につけることは,未来に対してクリアな想像力を養うことに貢献する.

仕事でもプライベートも充実させている人の共通点は,行動力に満ち溢れており,ビジネスマネジメントの大基本であるPDCAを普通の人の何倍も速く回している点である.

論理が非論理(大発見)を生む.

君たちに伝えたい3つのこと―仕事と人生について 科学者からのメッセージ
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1.人生には目標と戦略が必要で,それは理性的に自分で決められる.
2.誰かのためでなく,自分のために生きよ.結果としてそれが人の役に立つ.
3.まずはルーチンワーカーではなく,クリエイターを目指すべき.


クリエイターである研究者としての素質とは,突飛なことを思いつくアイデアマンであることではなく,A→B,B→C,故にA→Cというような,確実で緻密な思考能力,すなわち論理性を備えていること.

大発見とは論理性から生まれるものである.つまり,大発見とは往々にして,論理体系の中から論理に外れるものとして顔を出してくる.論理性が無ければ論理に外れたものを認識できないので,貴重な機会を逃してしまう.論理が非論理(大発見)を生む.

知識があって思考方法を知ってこそ,初めてアイデアが出てクリエイティブな仕事が出来,最終的に世の中の役に立てる.

実験(シミュレーション)の美しさは重要なファクターである.美しい実験とは,理論的に整合性のある対象を置き,結果の解釈を誤らないための様々な工夫がなされているものである.美しくない実験は,思わぬところで重要な兆候の見落としや誤った解釈を招くものである.実験結果を得るまでには多くの工程を経るので,その間の多くの押さえるべきポイントを理論的に把握できている人だけが,最終的に美しい結果に到達できる.

2012年9月1日土曜日

どんな素晴らしい発想でも最初は小さなつぶやきから始まる. 

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悩みとは,「自分の願望と現状が一致ないこと」. このギャップの大小が悩みの大小である.

どんな素晴らしい発想でも最初は小さなつぶやきから始まる. 新しい発想というと,何か神がかり的なひらめきが必要かと思い込んでしまうが, 実は素朴な疑問や発見の積み重ねから生まれることが多い.

どうして,国を守らなければいけないの?



なぜ歴史教育が大切なのか?

歴史とは,その国の国民の拠り所となる. 輝かしい歴史,英雄たちの活躍,名の無い民の奮闘,素晴らしい発見や発明,世界に誇れる文化.無論,悪い例は反省の材料とすべきである. ただし,良い例がなく悪い例ばかりでは,素晴らしい日本人は育たない. 正義を貫いた人,自己犠牲を厭わなかった人,公共のため,国のために尽くした人といった例を出すことで,次の国を担う人材が生まれる.

侵略者にとっては相手の歴史は脅威であり,自分たちの正当性を失いかねないものである. このため,侵略者は歴史を都合の良いように書き換える.

もしも小学校から大学に至るまでの先生たちが,我々の自由の理想と国民的な名誉に対して忠実であるならば,侵略者は絶対にその理想に手をつけられず,したがってその思想を屈服させることはできないだろう. 精神的な抵抗運動を誰よりもまず最初に引き受けて実行するのは,わが国の教育者たちである. なぜか?それは学校が子供たちを預かっているからである. 子供たちに直接語りかけることが,学校なら可能だからである.

こちらがどんなに平和を望んでも,侵略する側にとってみればそんなことは関係ない.

ノーベル賞を主催するスウェーデンは中立国ではなるが,世界有数の武器生産・輸出国であり,自国で使用する武器はほとんど国産である.ここまでしないと中立を維持できない.

外交の役割とは,世界の中に味方を増やすこと.

国を守るということ
・領土・領空・領海を守る.
・価値観を守る.
・歴史を守る.
・未来を守る.
・生命と財産を守る.
国を守るためにすべきこと
・情報の収集・分析能力を高める.
・同盟国を増やす.
・味方を増やす.
・軍事力(抑止力)を高める.

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自分自身では理由がわからなかった様々な課題や現象に対して,数学を用いて自らその理由を説明できたり,あるいは他人や本の説明からその理由を理解できたりして感動を味わうことがある.そのような経験が積み重ねられることによって,人は本当の「数学好き」になっていく.
(コメント)簡単なことから,数式を用いて理論的に説明を試み,成功することを積み重ねると,意外にあっという間に難しい課題の理論的な説明もできるようになり,ますます数式を扱うことが好きになるということは,実体験としてある.

主成分解析は,多くの変数をもつ情報を分析するとき,元の変数の1次式により作られる2~3の変数(主成分)によって全体の情報を大まかにとらえるようにするものである.多くの現実問題に関して,第1主成分から第3主成分までで全体の情報の80%くらいはとらえることができる.


規則性の理解のためのポイントは,「3」程度の具体例(モデル)で考えること.大体,これで一般的な性質を捉えられることが多い.
(コメント)簡単な具体例で考えることは非常に大切.「2」だと規則性を見落とす気もすると,「4」だと手間がかかる気がするので,「3」が丁度いい塩梅.

ある空間で本質的に新しい発見をすると,それは他の空間にも「同型」(アナロジー)を通じて波及し,それがまた新しい発見につながるのである.
(コメント)アナロジーで考えることがいつも大切.

「類別」は対象とするもの全部をいくつかに分けることで,その分け方によって説明が効果的になるものでなくては意味がない.
(コメント)トレードオフなどの表を作成する場合,説明したいことに沿った分類とすることが大切.表を作りたいが,分類軸がぼんやりするときは,何を説明したいのかを意識する.説明したいことに応じて,表も変化すると認識することも大切.

「場合分け」は,いくつもの場合分けをクロスしながら検討課題の核心に迫っていくのが普通で,様々な場合を見つけて考えるところに試行錯誤の鍵がある.したがって,数多くの試行錯誤をした後には「場合分け」を整理し直すことになる.
(コメント)場合分けは一発で華麗にできるものではなく,泥臭い作業が伴うものと認識する.試行錯誤しながら,検討課題の核心に迫っていく感覚を楽しもう.

モデル化する段階では,簡単のためのある程度の強引な方法(扱い)の採用はしかたない.このモデル化によるブレは避けようがなく,場合によっては意外に大きなブレになる場合もある.したがって,モデル化の規則や詳細は必ず明記する必要がある.
(コメント)モデル化は通常扱いやすい数式に乗せるために行う.このようなモデル化により,対象とする事象の出力等への見通しが立つ.一方,扱いやすいようにモデル化しているため,ブレが発生することには細心の注意が必要.

「すべて」と「ある」の用法は否定文と一緒に理解する.
「すべての自然数nに対して,命題P(n)が成り立つ」(すべて・・・ある)
「ある自然数nに対して,命題P(n)は成り立たない」(ある・・・・ない)