2012年8月26日日曜日

小倉広 自分でやった方が早い病

自分でやった方が早い病 (星海社新書)
小倉 広
講談社
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リーダにもかかわらず「自分でやった方が早い」と思っていると,それが人生のピーク.つまり,永遠にプレイヤー一人分の仕事しかできないし,会社もそう評価する.さらに,周囲のやる気を削ぎ,部下が育つ機会を奪い,会社に損失を与えているとも評価される.


孤独な成功者になるだけであり,行く末は以下のとおり.
・仕事を抱え込み,病気も抱え込む.
・常にストレスにさらされる.
・常に誰かのせいにして生きることになる.
・気付けば周りから人がいなくなっている.
・笑顔と余裕がなくなる.
・「まわりは使えない」と思っている人ほど「使えない」と思われている.
・いつまでたっても優秀な人が現れない.
・誰も信頼できなくなる.誰にも信頼されなくなる.

リーダは,一人で100歩進むのでなく,100人を一歩進めることが大切.リーダ1人が1社から1億円の売上げを達成するよりも,100人が100社から100万円の売上げを達成する方が,会社の安定につながる.

たった一度の人生,一人で頑張るより,仲間と力を合わせ,スキルやノウハウを分け合いながら,とてつもない大きなものを手にする方が楽しい.

「自分でやった方が早い」と考える人はすべてが自己完結.いい仕事を誉められたい.結果を出してお金がたくさん欲しい.こういう思考回路でいると,浅い幸せしか得られず,心の充足が永遠に得られない.

人は「してもらう幸せ」,「自分でできる幸せ」,「してあげる幸せ」の順に成長する.「自分でやった方が早い」と考える人は「自分でできる幸せ」のレベル.前者二つは利己主義であり,最後のみ利他主義.プレーヤとしての喜びと,リーダとしての喜びはまったく別次元.

仕事を任せることが目的ではなく,仕事を通じて部下の成長を促すのが目的.任せないのは未来は必要ないと言っていることと同じ.

「小善は大悪に似たり,大善は非情に似たり」

「任せられない」のは「任せていない」から.「任せたら自分は一切何もしなくていい」のは「任せる」のゴールであり,最終形.最終形に到達するまではフォローが必要.そのかわり,自分は一つ上の仕事を経験でき,また会社にはノウハウが溜まり,未来が描けるようになる.

悩みの量と気づきの量は同じ.

リーダにジレンマは「短期的な成果(業績)」と「中長期的な成果(人材育成)」という矛盾した成果の両方を追い続けること.これを達成するのがリーダの存在価値.

失敗とは,短期的な観点で見ると成果や効率面でネガティブな結果となるが,中長期的な観点で見るとむしろ成長である.

目先の仕事を責任感をもってできない人間が,さらに上の仕事を担当したら急に責任感が生まれるということは絶対にない.

言いたいことをすべて言うのは自分の自己満足にすぎない.

PCDAのうち,D以外を部下と共に行う.検証なき改善は絶対になり.Dは部下にやらせ,D以外に時間を割く.

業務をマニュアル化するのはリーダの仕事.非定型な仕事の場合,100点のマニュアルではなく70点のマニュアルでも十分.

周囲を育ててれば,必ず自分も育つ.

矢印を自分自身に向ければ,まわりの人の仕事ぶりに我慢することもなくなる.

過去と他人は変えることができない.

心が変われば行動が変わる.
行動が変われば習慣が変わる.
習慣が変われば運命が変わる.
運命が変われば人生が変わる.

陰徳を積むことで自信がみなぎり,心に余裕が生まれる.自分に駄目な部分があったとしても,「俺,こうところがだめだけど,結構頑張っているよな」と思えるようになる.すると人のことも許せるようになる.

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